Q&A: なぜアンドーバーとエクセターがトップスクールなのか?


Q: アメリカのボーディングスクールではAndover/Exeterがアカデミックの点では双璧であることはよく理解ができました。創設者も親戚同士で歴史も似ているこの2校 がなぜ2~3世紀にわたりトップスクールであり続けることができたのでしょうか。また、この2校の違い(校風や特徴)があるとすれば、どんなところでしょ うか。

A: ご指摘のとおりアンドーバーとエクセターはプレップの中でも特に有名です。この2校には以下のような共通した特徴があります。皮肉なことに歴史が良く似た学校がライバル校として存在したために両校ともが切磋琢磨して伸びていったのです。 日本で言えば早稲田と慶応が私学の中では飛びぬけて知名度があるように、ライバルであるがゆえに両方ともが伸び、その他の学校と差がついてしまったというほうが正しいかもしれません。

1)アメリカで特に初期に創設されたボーディングスクールであり歴史があるライバル校であった

アンドーバーは1778年、エクセターは81年に創立されており、他の名門BSよりも歴史があります。たとえばDeerfieldは1797年、Chateは1890年、St Paulは1856年です。BSとしてそれぞれ2,3番目に古く(一番はGovern’s Academy) また、アンドーバーとその設立3年後に創立したエクセターとはアメリカ史上最古のライバル校関係であり、学業、スポーツともに切磋琢磨する関係にありました。この健全なライバル関係は両校の発展に非常に寄与しています。 両校は車で40分ほどの位置にあり、ライバル校間で行き来が楽であったというのも理由です。 1787年といえば独立戦争の真っ只中です。当時文化政治の中心はボストンを中心と知るマサチューセッツであり、文化知識人も集中していたのでこれらの子弟の教育の場所としてその地位を確立しました。

2)規模がおおきい

そのほかのBSに比べて学生数が多いのも特徴です。そのほかの10Schoolの学校に比べ学生数がほぼ40%から50%多くなっています。(在籍数1100人くらい)したがって卒業生の数、卒業生からの寄付金も多く、学校の設備施設も他校に比べて優れています。エクセターの寄付金総額は1000億円、アンドーバーは750億円とアイビーリーグのペンシルバニアやコーネルを超える基金をもっており、アメリカの中等教育組織としては飛びぬけて裕福な学校です。10スクール下位の学校と比べると総額で5倍近い開きがあります。両校の規模がほぼ同じなこと、他の学校に比べて規模が大きいことも両校のライバル関係と関係しています。

3)有名な卒業生が多い

両校には大統領をはじめ、各分野で活躍する(した)卒業生が多くいます。同窓、卒業生間での結びつきも大変強く、卒業後も社会生活を営む上でさまざまな利益があります。

4)進学実績

歴史的にアンドーバーはエール、エクセターはハーバードののフィーディングスクールと呼ばれており卒業生半数近くをこれらの大学に送り出していました。1960年代までは成績が下位でも結びつきの強い大学には入学できていたといわれています。そのため、上流階級の家庭はこぞって子弟をいずれかの学校に入学させたがりました。 現在は両校ともひとつの大学に偏っているということはありませんが、進学実績は抜群であることには変わりありません。

5)その他

エクセターはハークネス法(円卓で授業を行う)を編み出したり、アンドーバーとともにAdvance Placement TestをHarvard,Princetontと作り出したりと革新的な教育の中心的な役割を担っています。教育、教員の質も当然のように全米トップレベルなので両校とも中等教育において権威的な立場になっています。

両校の違い:

本質的なところでは両校の違いというのはあまりないと思います。いづれの学校も長い歴史を持ち、巨大な基金を持ち、優秀な卒業生があり、卓越した進学実績を誇っています。ただ細かい点で見てみると以下のような特徴があります。

1)ボストンのDay School 化の傾向があるアンドーバー

アンドーバーはボストン市内から車で40分の立地です。車を持っていれば十分市内から通うことができる距離なので寄宿生として通うのではなく、Day Student (自宅生)として通う学生が多くなっています。子供を寮に送りたくない父兄はエクセターよりもアンドーバーを選ぶ傾向があります。 エクセターはボストン市内から1時間20分ほどかかるので自宅から通うのには不向きです。周りに大きな町がないので田舎です。 音楽など学業以外に芸術に力を入れている学生は学内の施設ではなくボストン市内の音楽教師のレッスンを受けたりする場合があります。これらの学生も立地の条件でアンドーバーを選ぶ傾向があります。 ちなみに同じくボストン市内から25分圏内にあるMilton Academyも立地のよさから学生が集まります。ボーディングスクールですがDay school化が著しい学校です。

2)土曜日も授業があるエクセター

エクセターはアンドーバーより学業的により厳格であるといわれています。たとえばアンドーバーは土曜日は休みなのに対してエクセターは土曜日も午前中授業をします。(そのかわり水曜日は半日)。休みを少なくすることによりより生徒を学業に集中させるためです。 また、男子生徒はネクタイを着用する規則があり(アンドーバーは着用義務無し)、より規則が厳しいと感じる生徒も多いようです。

3)人文のアンドーバー、理数のエクセター?

アンドーバーは人文に強く、エクセターは理数系に強いというイメージがありますがこれは一般的なイメージで、実際は両校とも差はありません。National Merit Scholorの数も、数学コンクールの成績も大差はありません。エクセターはよりガリ勉なイメージがあり、GEEK とよばれています。一方アンドーバーは遊んでいるイメージがあり”Smurf” (青い小人)と呼ばれています。

4)日本とのゆかりが多いアンドーバー

同志社大学の創立者新島譲はアンドーバーの卒業生。日本の高校との提携もしているのでサマースクールへの参加者も比較的多いようです。

以上参考になったか疑問ですが、知っている限りでお答えしました。

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コメント / トラックバック2件 to “Q&A: なぜアンドーバーとエクセターがトップスクールなのか?”

  1. poko Says:

    大変分かりやすく詳細に説明していただき有難うございました。本ブログでBSのあり方と課題の歴史的な変遷を解説していただいておりますが、私も「ワスプ(WASP)―アメリカン・エリートはどうつくられるか」 (中公新書) (越智 道雄著)や岩井氏の論文などを読み、名門BS、特にトップスクールであるAnvover/Exeterの両校が伝統と名声に溺れることなく、新しい血を受け入れ自ら改革を断行しトップを走り続ける姿勢に、逞しさと素晴しさを感じました。頂点が高ければ高いほど、そこを目指す優秀な人材が集まるとすれば、野球でMLBを目指す日本人が増えたことと同様に、若い世代のアメリカへの頭脳流出(挑戦)が今後増えていくことになるのではないかと思います。

    • usboardingschool Says:

      コメントありがとうございます。アメリカへの留学の総数は年々減る傾向にあるそうですが、BSへの留学は増えていくかもしれないですね。


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